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日本株に意欲的、下落局面にねらい=CPEG最高投資責任者

スイスのジュネーブ州年金基金(CPEG)最高投資責任者グレゴワール・ヘーニ(Gregoire Haenni)氏は、日本株を選好していると述べた。依然として緩和モードの日銀金融政策や、足元のインフレ傾向にも関わらず良好な国内消費動向、企業のガバナンス改善姿勢、魅力的な配当利回りなどを理由として挙げている。日銀が利上げに動けば日本株は調整する可能性があるが、株価下落局面での購入を狙っているという。

 

11月15日東京で開催された第17回グローバル・フィデューシャリー・シンポジウム(GFS)でTop1000funds.comとのインタビューに応じた。

 

CPEGの運用資産残高は約230億ドル(約3兆3350億円)。多くの資産を日本株に配分していることを明らかにし、今後もその投資を継続する予定であるとの方針を示した。

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今年に入ってから日経平均株価は約25%上昇。一方、中国MSCI指数は11%下落。米S&P500指数は15%上昇だ。CPEGは総じて株式に強気の見通しを持っているが、特に日本株を選好する理由の1つとして日銀の金融政策姿勢を挙げる。

 

「確かに現段階の日銀の金融政策は正常化に向かっているが、まだ引き締めモードには入っていない」とヘーニ氏は指摘。日本の物価は上昇しているものの、国内消費は底堅く、日本の経済成長を後押しする役割を果たしているとみる。

 

<日本企業のガバナンス改革に好機到来>

 

日本企業がガバナンス改善を進めている点もポジティブだという。経営トップは株主の利益をますます意識するようになっているとし、「日本は過去に何度も失敗を経験してきたが、今回は好機が訪れている」と話す。

 

米国では、これまで米国株を牽引してきた「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる主要テクノロジー企業7社に綻びが見られるが、日本企業は価値を生み出す能力がより高いことを示していると、ヘーニ氏は認識している。

 

足元の物価上昇は日本企業にとってポジティブ要因ともみている。「企業はインフレ圧力を吸収し、徐々に価格を引き上げている。インフレを価格設定に組み込むことで収益性を高めるだろう」とヘーニ氏は語る。

 

同基金は、特に「グリーン・トランジション(環境配慮社会への移行)」に積極的に取り組む日本企業をポジティブにみている。ヘーニ氏は、「日本の機関投資家は、(温室効果ガス排出量)ネットゼロ・コミットメントを支援するセクターへの投資を検討すべきだ」と語った。

 

<リスクは円安、調整局面はチャンス>

 

ヘーニ氏は、リスク要因として円安を挙げた。円安は輸入コストの増加によるインフレを招き、日本株の重荷になる可能性があるという。日銀は利上げに踏み切る可能性が高く、マーケットのセンチメントを弱める公算があるとみる。

 

ただ、引き締めは緩やかになると予想している。「日銀は、各国の中央銀行が行ってきた積極的な引き締めは行わず、まずはイールドカーブ・コントロール(YCC)を徐々に解除するという政策をとるだろう」との見方を示した。

 

国内インフレ率がすでに1年以上にわたって、物価目標である2%を上回る中、日銀は今年10月、YCCの誘導目標である10年国債金利の許容変動幅を拡大させる政策変更を行っている。

 

これらのリスク要因で、日本株が大幅に下落した場合、CPEGはそれを好機して捉えるという。ヘーニ氏は「日本株はいずれ調整に入るだろうが、その調整局面で買うことが、絶好な戦略だ」と話した。

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